梅雨が終わってからの季節、30℃を超える暑い日々が続きます。
この時期に注意が必要になってくるのが、熱中症です。
熱中症対策として、一番に思いつくのが水分補給ではないでしょうか。
特に高齢者は、飲食の量も減っている人が多く、水分が不足しがちです。
高齢者ほど、体温や体液のバランスを調整する機能が低下しており、脱水症の危険が高まるので、こまめな水分補給が必要です。
高齢者が脱水を起こしてしまうと、命にかかわることもあり、大変危険なのです。
熱中症予防対策としても、日々の体調管理としても大切な水分補給。
今回は、この水分補給について書きたいと思います。
水分補給をする際に、気を付けたいのが、のどが渇いていなくても、水分補給をしたほうがいいということです。
脱水症は、発症してから対応するのでは手遅れです。
人がのどが渇いたと感じた時、それはすでに脱水症状が始まっている時だからです。
脱水は、事前に予防することが大切であるため、のどが渇いていなくても、一日を通して意識的に水分を取るよう心がけることが大切です。
特に高齢者の場合、まわりにいる家族などが、意識的に、水分をとるよう高齢者に声がけをしてあげてください。
こまめに水分をとることで、脱水症になりやすい高齢者を救うことができるでしょう。
水分補給はやっぱり水がいい?
さて、脱水を防ぐために大切な水分補給ですが、やはり水を飲むことが一番いいのでしょうか。
水だけを補給していればいいのでしょうか。
答えはNOです!
実は、脱水を防ぐためには、水だけでは不十分です。
なぜなら、身体に含まれている体液というのは、真水ではなく、人が汗をかくとき、失われているのは、水分だけではないからです。
人が汗をかくとき、水分と一緒にナトリウムも失われています。
水分補給が大切だからと言って、一度に大量の水だけを摂取すると、かえって体内の電解質のバランスを崩して体調不良を引き起こしてしまうこともあり危険です。
飲む量は、かいた汗の量を目安にして、汗で失われた塩分(ナトリウム)もきちんと補給することが大切なのです。
熱中症予防の水分補給としては、0.1~0.2%の食塩と糖質を含んだスポーツドリンクが一番いいといわれています。
では、汗で失われる塩分(ナトリウム)だけでなく、糖も含んだ飲み物がいいとされているのは、なぜでしょうか。
糖を含んだ飲み物は、腸管での水分吸収を促進するといわれているからです。
主な糖であるブドウ糖は、腸管内でナトリウムが一緒にあると速やかに吸収されます。
そしてそれに引っ張られて水分も吸収されるというわけなのです。
ですから、水分補給をするときは、水を大量に飲むのではなく、こまめに、糖質塩分を含んだスポーツドリンクを補給するようにしてください。
こうすることで、夏の暑い日の脱水症状を防ぐことができるでしょう。
体内での水分の役割
最後に体内での水分の役割についてみていきましょう。
私たちの体の中でもっとも多いのは水分です。
成人男性の場合、体内の60%ほどが水分であるといわれています。
その水分は、体内で、栄養分や老廃物を血液中に溶かし、運ぶ役割を果たしています。
また、体内で起こるいろいろな化学反応は、水に溶けた状態で進行することで細胞活動を維持し、体温を調整しています。
人の体温が常に36~37度で保たれているのは、水が温まりにくく冷めにくいからなのです。
運動などをして、体温が上がると汗をかき、体表面で蒸発するときに熱を奪って体温を維持しているんですね。
水分が物質代謝を促進させることで、熱が出た時の解熱効果も期待できます。
ほかにも、水分を摂取することによって、排便排尿を促すこともできます。
水分がたりないと便秘になってしまいますよね。
また、お酒を飲みすぎて二日酔いになったときなどは、水分をとることで、血中の原因物質を希釈し、排尿による排出を促してくれます。
それから、水を飲むことで、気持ちの高まりを一時的に鎮める鎮静作用もあるといわれています。
このように、水を飲むことで、体内の水分は、健康を維持するためにとてもよい役割を果たしてくれています。
いろいろな効能もあり、私たちの体にとって、水分はとても大切で、欠かせないものだということがわかりますね。
まとめ
今回は、水分補給の大切さ、水分補給するときに気を付けるべきことなどについて書かせていただきました。
水分補給を怠っていると、命にかかわることもあり、大変危険です。
脱水症状を侮ってはいけません。
特に、高齢者の場合、のどの渇きに気が付きにくく、知らず知らずのうちに、脱水症状を起こしてしまう可能性があります。
毎年、熱中症で病院に搬送される人、死に至ってしまう人がたくさんいます。
私たちの体にとってとても大切な水分。
こまめな水分補給を意識して、暑い夏を元気に乗り切りましょう。
家族に高齢者がいる場合は、まわりが意識して、高齢者に水分をしっかりとるよう声がけをしていくことが大切です。