古墳には被葬者の地位や位の高さで様々な形をしたものがありますね。その代表的な
古墳の一つが大阪府堺市で見られる『大山古墳(仁徳天皇陵)』の『前方後円墳』が
多くの方に知られています。
では、古墳にはどんな形があるのか、墳活の知識として知っておきたいものです。
古墳の形を探りながら古墳巡りを楽しむのも墳活の魅力ですね。
今回は、様々な形をした古墳の特徴や、全国の古墳の基数を地域別にランキング形式で
ご紹介します。
古墳の種類には様々な形がある!その数は!?
基本的な形状は円墳や方墳(四角)、そして、それぞれ連結した前方後円墳などが
あります。しかし、発見されている古墳は様々な形をしたものがあります。ここでは、
その形と基数を調べてみたので紹介します。
|前方後円墳
円墳が埋葬部分で方墳が祭壇と言われています。調査結果では『約4,700基』発見
されていると言われているのですが、調べてみると、約4,800基とも5,200基ある
とも言われていて、実際のところ基数は確なものでもないようで、今後も調査が進
めば、さらに増減があると思われます。
前方後円墳:大山古墳、箸墓古墳、纏向石塚古墳など。
|前方後方墳
前も後ろも方墳で造られ、全国でも『約200基』ほどしか発見されていません。
東日本や四国、中国地方に多く見られ、全体の古墳の基数と比較すると希少な古墳と
いえますね。
前方後方墳:大安場1号墳、西山古墳、山代二子塚など。
|円墳・方墳
古墳時代を通じ全国に広まったのはこの円墳で、方墳については7世紀ごろの後期古墳時代
から造られるようになりました。この2種で全体の約9割を占め、特に円墳が多く造られて
います。
円墳:高松塚古墳、丸墓古墳、八幡山古墳など
方墳:山田高塚古墳、向墓山古墳、春日向山古墳など。
|帆立貝形墳
基本的には前方後円墳ではあるのですが、正規の形で築造することが許されない方が、
方形を著しく短くしたもので、上から見るとまるで帆立貝のように見えることから
帆立貝形墳と言われています。
帆立貝形古墳:亀塚古墳、三吉石塚古墳など。
|双方中円墳(そうほうちゅうえんふん)
真ん中が円墳で両サイドに方墳がある古墳で、前期古墳時代に造られたと推測されて
います。現在知られているものでも4例しかなくとても希少な古墳です。
双方中円墳:鏡塚古墳、猫塚古墳など。
|八角墳
八角形になった古墳です。7~8世紀ごろ大王のみに造ることがゆるされた墳形で、
まだ12基ほどしか発見されていない古墳なので今後も発見できるか楽しみですね。
八角墳:伊勢塚古墳、牽牛子塚古墳、野口王墓古墳など。
|六角墳
六角に造られた古墳です。天皇に次ぐ位で皇太子や皇子などの人物に造られたものです。
全国で3基しか認められていないため、超希少な古墳といえますね。
六角墳:塩野六角古墳、杉山古墳群A号墳、マルコ山古墳。
|柄鏡式古墳(えかがみしきこふん)
前方後円墳のうち前方部分が細長く造られています。基数は前方後円墳に含まれます。
絵鏡式古墳:茶臼山古墳など。
|双円墳(そうえんふん)
双円墳は円形が二つ連なっているひょうたんの形をした古墳で、日本でも1つしか
見つかっていない貴重な古墳なんですよ。大阪府に存在する国の史跡に指定される
重要な古墳で墳活にはおすすめです。
双円墳:金山古墳
|上円下方墳
四角形の方墳の上に円墳を載せた造りになっている古墳です。後期古墳時代に造られて
いますが、わずか4基のみ認められています。
上円下方墳:府中熊野神社古墳、石のカトラ古墳など。
|四隅突出墳(よすみとっしゅつふん)
方墳の四角部分が突出した形をしていることからつけられた古墳で、西日本の日本海側に
多く見られています。
四隅突出墳:阿弥大寺古墳群、西谷3号墳など。
古墳が造られ始めたのは3~4世紀頃、畿内(きない)を中心に築造されています。
被葬者はヤマト政権の大王やその親族、または地位や位の高い方が埋葬された
前方後円墳です。
しかし、時代が進むにつれ、いわゆる古墳時代のピークを迎える頃から円墳や方墳が
主流になり全国に広まっていったのです。これからも古墳調査は続きます。新たな発見に
期待がふくらみますね。
都道府県別に古墳の数を調べたら!
全国に広がる古墳を都道府県別に基数を調べてみたら、意外にも兵庫県が最も多く
発見されています。文化庁の埋蔵文化財で報告されていたもので、その中から、
基数の多い都道府県をランキング形式でご紹介します。
|『全国古墳の多い順ランキング』
このランキングは『文化庁 周知の埋蔵文化財包蔵地数』で報告された数値をもとに作成
しております。
周知の埋蔵文化財包蔵地とは、埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地を
いいます(文化財保護法第93条第1項)。石器・土器などの遺物が出土し、貝塚・古墳・
住居跡などの遺跡が土中に埋もれている土地であって、そのことが地域社会で認識されて
いる土地がこれに該当するとされています。
引用:文化庁「平成28年度 周知の埋蔵文化財包蔵地数」⑧古墳・横穴 (外部リンクに
飛びます)
【古墳が多い都道府県ベスト10】
1位に輝いたのは『兵庫県の18,851基』でした。元々は現在の近畿地方にあたる
『畿内』から始まった古墳なので、関西地方でたくさん見られるのは納得できますね。
続いて11位~20位まで見ていきましょう。
【古墳が多い都道府県11~20位】
日本最大の前方後円墳がある大山古墳で有名な大阪府は13位でした。
続いて21位~40位まで見ていきましょう。
【古墳が多い都道府県ベスト21~30位】
【古墳が多い都道府県ベスト31~40位】
では残る7つの地域を見ていきますね。
【古墳が多い都道府県ベスト41位~】
調査結果では北海道や青森県、そして秋田県は『埋蔵文化財包蔵地数』として0基とされていますが、古墳としてはそれぞれ残っており、北は北海道から南は沖縄まで『墳活』を楽しむことは出来ます。
因みに、日本地図で基数を表すとこのようになります。
【日本列島古墳の基数分布図】
古墳好きの皆さん、この古墳基数別日本地図を参考に、『古墳巡り』を計画してみてはいかがですか。まず、皆さんが住んでいる地域の古墳から『墳活』してください。
まとめ
全国で約16万基あると言われている古墳ですが、その始まりは3世紀頃から
遺跡調査で分かっています。その形は前方後円墳で円墳と方墳が連結したもの
ですね。古墳の形は、円形と方形(四角形)を基本とし、それぞれ連結した
前方後円墳や前方後方墳、中心が円墳で双方に方墳が連結した古墳もあります。
古墳の数も形状によって様々ですが、前期古墳時代では前方後円墳と円墳が主流で、
時代が進むにつれ、円墳と方墳が主流になっていきます。『周知の埋蔵文化財包蔵地数』
の報告では、古墳が最も多く発見されているのは兵庫県の18,851基ですが、発掘調査は
まだまだ続けられるので、新発見が楽しみですね。
これから墳活を始めようと計画している方、『墳活』の始まりはまず皆さんがお住いの
地域から古墳巡りをすることです。近くにもたくさんの古墳が皆さんを待っています。